身勝手な恋情【完結】
蓮さんがとても幸せそうに――
まるで花が咲くように笑う。
馬鹿な蓮さん。
こんな些細なことで、私に好かれたことが奇跡だなんて――
彼の笑顔に切り付けられるような切なさを覚えた。
好きだって思う以上に、この人を絶対に傷つけたくないって思った。
だからって、私に何が出来るかって――
まだ、わからないけれど。
蓮さんを大事にしたい。守りたい……。
胸がいっぱいになって蓮さんの胸におでこをくっつける。
「あーあ。ひよと無駄話したせいですっかり冷たくなった」
蓮さんは私の手を引き寄せ、彼の着ていた紺色のダッフルコートのポケットに自分の手ごと突っ込み歩きはじめる。
無駄話って……もしかして恥ずかしがってるんだろうか。
ポケットの中で指に力を込めると、蓮さんはしっかりと指をからめ握り返してくれる。
こういうの、なんだか恋人っぽい……。嬉しい。
少し歩を早め、蓮さんに体を寄せた。
風は相変わらず冷たさを増していたけれど、もう気にならなかった。