身勝手な恋情【完結】
社長のこと「草食系」だとか「淡白」に違いないと、女同士で話したことは何度もある。
だって社長って、赤い血が流れているようには見えないっていうか。
絵に描いたようなクールビューティーで、いつも怠そうというか。
けど……
彼の才能は同世代ではぴか一で、同世代では間違いなく一番の売れっ子で。
だから私は彼の仕事にひそかに憧れていて――
同じ空間で働けるだけで嬉しくて――
「あっ……」
「熱いね、お前の中。ヤケドしそう……」
ぎゅっと閉じていた目を開けると、のけぞる私の体を見下ろす社長と視線が絡まる。