身勝手な恋情【完結】

一瞬驚いた顔をしたけれど、可憐さんは笑顔を取り戻し、ふふふ、と笑いながら蓮さんを見上げる。



なのに、蓮さんったらそんな可憐さんの視線から目を逸らし

「ああ……まぁ、とにかく物好きな女なんだよ」

なんてうそぶくから、目が丸くなってしまった。



「物好きって失礼な! 一緒に住みたいって言ったの、蓮さんですよっ!」

「はぁ? 覚えてないね。お前の妄想じゃないの?」

「も、妄想……! もうっ、ひどいっ!」



エレベーターの中で、唇を尖らせ憤慨する私。

それを見て楽しげに、声をあげて笑う蓮さんは、ちょっと可愛くて、嬉しかったり……。


やっぱり好きな人が笑っていてくれると、嬉しい。

好きになったばかりの頃は、自分だけ好きでいればいい、側にいられたらなんでもいい、なんて、ある意味強烈な片思いをしていたような感じだったけど……。


今は素直に思えるんだ。

蓮さんが笑ってくれると、幸せなんだって――。


< 375 / 469 >

この作品をシェア

pagetop