身勝手な恋情【完結】
「馬鹿。おまえも降りるんだ」
蓮さんは眉をひそめてそう言い放ち、私を助手席から引っ張り出す。
タクシーから降ろされた私を見て、可憐さんは目を丸くし手をつないだままの私と蓮さんを交互に見比べた。
「――お兄ちゃん……」
「こいつと一緒に住んでる。だから三人だけど……いいね?」
そして蓮さんは、しっかりと私の手を握り締める。
空気は冷たいけれど手はあったかい。
なんでだろう。
その瞬間、たまらなく嬉しくなって――涙が出そうになった。
「そうだったんだ……ごめんなさい……急に泊まるとか言っちゃって」
可憐さんは私にペコッと頭を下げる。
「い、いえ、その、気にしないで」
「そっかぁ……お兄ちゃん、女の人と住んでるんだ。しかも会社の人と……社内恋愛ってやつだ。想像してなかった」