身勝手な恋情【完結】
「でも、蓮さん、私はやっぱり……無駄に揉めるとかじゃなくて、蓮さんのお父さん、知寿さん、可憐さんの三人で、本心でぶつかって欲しいって思うんです」
「ひよ……」
すごくまずい空気。
ひそめられた眉の間は深くなり、蓮さんの表情がどんどん険しくなっている。
「――もしかして知寿が離婚したら俺とどうにかなるんじゃないかって疑ってるわけ?」
「そんな!」
違います!と言いかけて――
でも果たしてそんなことを1ミリだって考えなかっただろうかと思うと、まったく自信がなくて……。
ドキン、ドキン――と心臓の鼓動がうるさくて。
耳の後ろをごうごうと血液が流れる音さえ聞こえる。