身勝手な恋情【完結】
蓮さんは、私が気を失うようにして眠ったあと部屋を出て
(相変わらず泊まってはくれない)
終電を逃し泊めてもらおうとやってきた彼女と部屋の前で鉢合わせたんだとか。
『社長っ!? えっ!? ここ、ひよっ、あの、櫻さんの、部屋ですよね!?』
蓮さんは激しく動揺する和美を見て、特に困った風でもなく。
両手をポケットに入れたまま、さらりと、こう口にしたらしい。
『誰も信じないよ?』と……。
そして蓮さんは、ひょうひょうとした様子で和美を置いてけぼりにして夜の闇に消えて行った。
和美も酔いが一気にさめて、けれど私に直接問いただす勇気も湧いて来ず、結局そのままタクシーで帰ったらしい。