早く気づけ、バカ。









ガチャっと運転席のドアを開ける音がして

しょーちゃんが入ってきた。







「遅れてごめんなぁ?」


「いや、いいよ。」




しょーちゃんはぽんっと私の頭に手を載せてから


車を発進させた。





「ご飯食べにいこか。夜景が見えるところ、あんねん。」


「ほんとに!!??うわ、うれしい。」




全部が初めての体験。


胸が高鳴る。




「あ、寒くない??」

「うん、大丈夫。」



信号が赤に変わり、

しょーちゃんは車を一旦停止させ、私の顔を覗き込む。



心なしか、しょーちゃんの瞳は揺れていた。





信号が青に変わり、

しょーちゃんはまた車を発進させた。







「お、ここここ。」




「うわ、すごー...。」






着いたのは高級そうなレストラン。






車を止め、降りようとするとしょーちゃんが助手席のドアを開けてくれた。




「ありがと。」


「んーん、ええんやで。」





からんからんと小気味いい音を立てながらドアを開けてくれるしょーちゃん。





「ここな、俺の実家が経営してんねん。」


「ぅえ!!?」



「んー?どうしたん絹」


くすくす笑いながら言うしょーちゃん。



ボーイさん、って言うのかな、黒服の人に席まで連れて行ってもらって


椅子を引いてもらう。




「あ、ありがとうございます…。」



「ふふ、絹かわええ。」



「ちょ、バカにしないで!!」





余裕こいてるしょーちゃんに怒ると

くすくす笑いながら謝れた。
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