好きなんだ…。

「くそ~、冬斗のせいで蕾がこっち全然向かな
くなったじゃねぇか。向いたと思ったら顔赤く
してるしよ。」

「でも兄さん、ラッキーとか思ってるんじゃな
い?」

冬斗はニヤケながら言った。

「なっ…!べ、別に思ってねぇよ。」

秋斗は頬を赤くしながらそう言った。

「嘘がつけないよね~」

「昨日会ったばかりだぜ?そんなんでラッキー
なんて思えっかよ…!!」

あぁ~、めんどくせぇー!と言いながら、秋斗
は自分の髪の毛をクシャクシャにした。


授業中

蕾から小さな紙が秋斗の机に置かれた。

秋斗はその紙を開けてみた。

秋斗へ

朝はその…私がコブ触っちゃったからあんなこ

とになっちゃってゴメンね(>人<)

と書いてあった。

あぁ、俺もなんかゴメン。

と書いて蕾の机に紙を置き返した。

蕾はその紙を開けてみたあとに、秋斗の方を見
ると、秋斗は顔をポリポリしながら見ていて目が
合うとすぐにそらした。

蕾はフフッと笑って、授業に集中した。

「兄さん、よかったね。」

と後ろから冬斗がボソッと言ってきた。

「う…うるせぇ…。」

頬を赤めながらそう言った。


放課後

担任がSHRで明日の事を連絡した。

「明日は一年の歓迎競歩会だ。休まずに来いよ
。」

え~、マジかよ~。という声が教室内を飛び交
う。

冬斗は、面白そうだけど…。と思いながら秋斗
を見た。



「競歩会なんてめんどくせぇー!」

と帰り道で秋斗が言った。

やっぱり兄さんめんどくさいんだ…。

冬斗は呆れたように笑いながらそう思った。

「え~、でも山とか景色綺麗だよ?楽しそう
じゃん!」

とワクワクした感じで蕾はそう言った。

「山登りするくらいなら、俺だけ体育館でバス
ケしてた方がいい。」

「そういえば、バスケが趣味って言ってたもん
ね~」

「あぁ」

「でも、皆と歩こうよ。私、秋斗と冬斗と三人
で歩きたい。」

蕾がふと、そう言った。

「俺は…」

秋斗が何か言いかけたとき

「うん。三人で行こう!」

冬斗が秋斗の言葉をさえぎってそう言った。

『ばかっ、俺は行きたくねぇんだよ!』

『まぁまぁ、いいじゃん。競歩会でちゃんと歩
いたら兄さんの好きなプリンあげるから。』

『マジか!?じゃ…じゃあ、ちゃんと歩くさ』

などと小さな声で言っていると

「やっぱり、秋斗は行きたくない?」

と蕾が目をウルウルさせながら言ってきた。

「あ、いや…。俺も行く…さ。」

秋斗がそう言うと

「やった!」

と蕾はニコッと笑った。

「明日が楽しみ~」



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