Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 キャサリンの質問に腹が立ったのだろう。

 ジェイムズが不倫対策に用意したメイドなら、いろいろとジェイムズに報告する義務があるのだろう。

 ジェイムズに質問されて、答えられないなんて恥ずかしい真似はしたくないだろうから。

「ケイン殿、どれくらいの人数にするおつもりですか?」

 後ろからキャサリンの大きな声が聞こえてきた。接見の間に到着したケインは足を止めると、足を回転させて真後ろに振り返った。

「今、ここで決めておかないといけませんか? 決まり次第、名簿を持って両陛下にご報告致します」

 ジョーンが頷くと、接見の間の扉が開いた。すでに接見の間に来ていたピットが扉を開けた。広い部屋の上座には、ジョーンが座る豪華な椅子が目に入る。

「僕は控えの間で待機しております」

 ケインはジョーンに頭を下げた。

(さっそくダグラスを利用して、計画を練りたい)

 ジョーンを先頭に、キャサリン、ローラ、エレノア、ウイリアムの順に接見の間に入ると、大きな扉がゆっくりと閉まっていった。
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