あの頃より きっと。




息をきらして渡り廊下についた彩穂が見た光景は――





「私、先輩が好きです。付き合ってください…」











「いいよ」











手に持っていたココアが、音を立てて地面に落ちた。






『壊れはしないと思うけど、これから続くかはわかんなくね?』






不意に、あの言葉が頭の中に流れてきた。

大好きな、あの声で。


夏の終わりを告げる風が、彩穂の髪の毛をなびかせた。









風磨、私、

どうすればいい――?

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