あの頃より きっと。
彩穂が小さな声で呟いた言葉は、麻紀にしっかり聞こえていた。

麻紀は伏し目がちにして、彩穂の頭に手をのせた。

麻紀はいつだって、人の気持ちがよくわかるのだ。





「…また次があるから」





麻紀には、そう言うことしかできなかった。

彩穂のほうが風磨を知り尽くしているから、何とも声をかけられないのだ。





「次…次なんて私にあるのかな。3年間も会えなかったのに、ずっと風磨のことが好きだったんだよ。今でも風磨のこと、こんなに好きだから…私には次が来ないんじゃないかなって思うんだ。死ぬまですっと、私は風磨しか考えられないんじゃないかって…」
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