あの頃より きっと。
その一言に、風磨の背中はピタリと止まった。

後ろは振り返らずに、次の雷の言葉を待っているようだった。

携帯電話は振動したままだった。





「バスケしたあとでも、うまかったよ」





雷はそう言い放つと、風磨の席から離れていった。

風磨は歯を食いしばって、気持ちを整えた。

いつもこうだ。

名前の分からない感情が、胸の深くまで突き刺さっていく。

自分は、大切なあの人のことだけ考えていればいいのだ。

幼馴染で、友達以上、恋人未満の関係のアイツよりも、近い存在でいるのだから。





マジで馬鹿じゃねぇの、雷。
……つか…俺も十分馬鹿だな…。
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