あの頃より きっと。
第七章

交差






朝。

彩穂は目覚めるとほぼ同時に、カーテンを勢いよく開けた。

二階の彩穂の部屋からは、とてもいい景色が眺められる。

そんなキレイな景色を見ようと目線を落として、思わず笑顔になった。

木々にうっすらと、白い綿が積もっていた。

彩穂の住む地では、いつも早い時期から雪が降るのだが、こんなに早いのは珍しい。

寒いとわかっていながらも、窓を開けて朝の新鮮な空気を吸う。

その風には季節独特の香りが混じって、吐く息は白かった。



少し早めの冬が、やってきた。




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