敏腕美人秘書のみゆきさん ■
「社長に
にげられましたぁ~~」
またかーー!!!
「斉藤!!」
私は会社の入り口だということも忘れ
思わず新人の斉藤君を怒鳴った。
しまった。
受付嬢たちが驚いたように
私たち二人を見る。
私の声は思ったより響いていたようで
朝の出勤する社員たちは一瞬
私たち二人を見て、
『まずいものを見た』と言わんばかりに
足早にこの場を去っていく。
「す…すいません。すいません。」
斉藤君は委縮して
何度も頭を下げる。
そんな頭を下げて
あの放浪社長が戻ってくるなら
私だって
もう首が腱鞘炎になるまで頭を下げてやる!!
心の中で舌打ちをしてから、
盛大にため息を漏らした。
「斉藤君。もう過ぎたことは良いわ。
社長の行先に心当たりはーー?」
「・・・・」
斉藤君は困ったように首を振った。