アシタのナミダ
プロローグ
あの時も、雨が降っていたよね。





私達が出逢ったのは、偶然だったのかな。





傘も差さないで濡れていたアナタに傘を差し出した私。





安っぽいビニールに触れる水玉が、甘いメロディーを奏でる。





アナタのくれた笑顔は、今も瞼の裏側に残っているよ。




私達の過ごした時だけが、今の私の生きる理由になっているんだ。




アナタもそうだったんだよね。




だから―――あの日、あの瞬間、




今までの21年という短い人生の中で、一番幸せだった時間。




あの時を、忘れない。
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