アシタのナミダ
カレンⅠ
夕立が、カミナリの振動に連れて激しさを増す。





「ジュリの事はスキだよ」





そんな雨の激しい、夏の日。





「カレン?」





彼女は、死んだ。





「カレン?」





自殺だった。





「待って! カレン!」





私の声は、ケータイの向こう側に響かず、





ただ聞こえるのは、通話の途切れた間の抜けた音。





数時間後、私は彼女を見付ける。





死への恐怖など何もない、という表情だった。





「ただ、一つ怖い事は―――」





その死に顔を見つめながら、彼女の声を聞いた気がした。
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