アシタのナミダ
夢かもしれない
「できちゃった―――」





確信はなかった。





生理が遅れているのは、精神的な理由だと思っていた。





けれどサユキに連れていかれたドラッグストアの妊娠検査薬は、青く事実のみを窓から知らせる。





「―――コドモ」





複雑だった。





望んでいた事なのに。





『コドモできたらウリはやめるよ』





カレンは言う。





『スキなヒトのコドモならなおさら』





若間さんはあの頃から、





『二人は似てるよ』





そう言っていた。





母親しかいない事。





メイクやスキなブランド。





学校にはあまり行ってなかった事。





売りをしていた事。





そして、コドモができた事。





トキオは私とカレンが同じ時間を過ごしたのを知っていたんだろうか。





それを知った上で? 





私をカレンの代わりとして?





「そんな事、ないよ」





今はもう消えてしまいそうだった懐かしい声。





「トキオは誰にでも優しいから」





あの日以来の私の部屋に、あの日以来のカレンの声。






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