*記憶のカケラ*

「相変わらず乱暴だなぁ、亜梨紗。もーちょっと優しく起こせよな。」

そういいながら目をこする。
亜梨紗は頬を膨らませながら

「遼が起きないのがいけないんでしょっ!起こしてもらってよくいうよ。毎日毎日起きないんだから。ほらもう学校遅刻しちゃうから準備してって!」

とずらずら言葉を並べた。
俺がTシャツに手をかけはじめると1階から母さんが亜梨紗を呼んだ。

「亜梨紗ー、毎日ごめんね。遼起きた?」

「起きましたー。」

と大声で答えたあと、

「早く降りてきてね。」

とだけ言って亜梨紗はパタパタと音をたてて階段を降りていった。
俺は急いで着替えを済ませる。
制服を着て、かばんをもって階段を下るとみんなで朝ご飯を囲んでいた。

「ほんっとに遼って寝起き悪いよねぇ。亜梨紗も毎日よくやるよ。」

なんて言う姉、杏奈(あんな)の声が聞こえてくる。

「うっせーぞ!ばか杏奈っ!」

席について朝ごはんに手をつけながら杏奈に舌を出した。

「あーもぅむかつくっ!どうせ兄弟いるなら亜梨紗みたいな可愛い妹が欲しかったのにぃ。」

「もぅ妹みたいなもんじゃないの。ずっと一緒なんだから。」

杏奈と俺の相変わらずのケンカ、それから当たり前ようにケンカにつっこむ母さん。
せんな様子を見て亜梨紗は朝ごはんを食べながら笑った。


何も変わらない毎日が今日も始まった。
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