【BL】俺がお前にできること




それでも、この勝負に乗ったのは
さっきしょーたと話したから。



女の人には勝てないし勝つつもりもない。

だって僕を選ぶことで
ヒナが得することは何もないのだから。


ヒナの将来潰すくらいなら、自分は我慢できる。

それくらいは大人な考えができる。



でも、同じ男にヒナを渡せるかとなれば、話は別なんだ。


瑛知が本気であればあるほど
僕は瑛知に、ヒナを渡したくない。


それくらいの独占欲は
中学から変わっていない。



そのあと瑛知は、当たり前っす!と元気良く言って去っていった。


それ見て小さく笑って、体育館に戻ると
いつものヒナがいる。


笑ってる。さっきのやり取りもなにも知らないヒナ。


ヒナがこれを知ったら、どんな反応するかな?



きっと他人事のように見てるだけなんだろうなぁー……






「弥生ちゃーんっ、帰る?」



「嫌です」



悪態をつく。
むっとした顔で見上げる。


見上げた先のヒナを見て、僕は呆れたように溜め息を溢した。


…やっぱり笑ってるし。




「うん、わかった。外にいるから」



誰も帰るだなんて言ってないのに。




< 146 / 382 >

この作品をシェア

pagetop