【BL】俺がお前にできること
それでも、この勝負に乗ったのは
さっきしょーたと話したから。
女の人には勝てないし勝つつもりもない。
だって僕を選ぶことで
ヒナが得することは何もないのだから。
ヒナの将来潰すくらいなら、自分は我慢できる。
それくらいは大人な考えができる。
でも、同じ男にヒナを渡せるかとなれば、話は別なんだ。
瑛知が本気であればあるほど
僕は瑛知に、ヒナを渡したくない。
それくらいの独占欲は
中学から変わっていない。
そのあと瑛知は、当たり前っす!と元気良く言って去っていった。
それ見て小さく笑って、体育館に戻ると
いつものヒナがいる。
笑ってる。さっきのやり取りもなにも知らないヒナ。
ヒナがこれを知ったら、どんな反応するかな?
きっと他人事のように見てるだけなんだろうなぁー……
「弥生ちゃーんっ、帰る?」
「嫌です」
悪態をつく。
むっとした顔で見上げる。
見上げた先のヒナを見て、僕は呆れたように溜め息を溢した。
…やっぱり笑ってるし。
「うん、わかった。外にいるから」
誰も帰るだなんて言ってないのに。