Hurly-Burly 4【完】
オドオドしながらどうしようと思ってたら、
クックッと喉を鳴らせて笑うダンディーさんが
涙を浮かべていた。
「あら、ど、どうなさったのですか?」
喉がカラカラなせいか掠れた声にビックリした。
今、あたしどこから声が出たよ?
おっさん並みの野太い声だったぞ。
いや、あたしはピチピチの女子高生だ。
う、美しい美声よ何処へ!!
帰って来ておくれ、あたしの美声よ。
こ、こんなことになるとはボイストレーニング
もするべきだったかしら?
「悪い、君はどうしてそんな面白いのかな。」
「えっ!?」
お、面白いだと。自覚が全くないわ。
そんな面白い顔してるつもりはないんだが、
お笑い芸人を目指してるわけでもない。
ということは、その涙は笑いから来てるのか。
てっきり、あたしは何か悲しいことでもあったのか
と思ったが笑うと涙が出てくるのね。
「いいよ、ドリンクバーって自由に取りに行くもんだろ?
俺に構わず行っておいで。」
「良いのですか?それでは、失礼して取りに行ってまいります。」
席を立ったあたしは口元を隠しながら笑ってる
ダンディーさんが気になったが今はオレンジジュース
確保を優先するためにも早足でドリンクバーへ急いだ。
ドリンクバーでオレンジジュースを注いでから
席に着くまで待てずに一口喉に流し込んだ。
「あ、あ、マイクのテスト中。」
美声を取り戻すことにも成功した。
よしっ、戻ってきたわ。
あたしの美しい美声が舞い戻ってきてくれたわ。
一時はおっさんのような声になってしまって
絶望的だったが、喉に潤いが戻ってきた。
嬉しくなって早口言葉でもしようと思った。
※相当ショックだった模様。
しかし、調子に乗りすぎて舌を噛んでしまった。
「隣の客はよく柿食うきゃきゅっ」
ち、畜生め!!
あたし女子アナになれないよ!!
別に女子アナになりたいわけではないが、
苦手なものは全て克服してやらなくては!!
早口言葉の練習を重ねなければ。
滑舌はそんなに悪い方ではないはずだもの。