Hurly-Burly 4【完】
ティーチャーたちは勝手にリビングにお邪魔していった。
ジョセフィーヌがかなり警戒していた。
それから、肩に乗っている師匠が兄ちゃんとアイコンタクト
を取ってジョセフィーヌの背中に旅立った。
「ひーちゃんは我慢強くて中々言いたくないのは
分かるけど、せめて兄ちゃんにぐらい言ってくれてもいいんだぞ。」
「兄ちゃんには不安しかないのだが・・・」
「なっ、兄ちゃん頼もしいんだからな!」
本当、昔っから空気読めてるのか読めてないのか。
「兄ちゃん、みんなが警察に連れてかれてしまった。
あたしは犯人らしき人を見ただけでみんなが疑われたのを
守ってあげることが出来なかったんだ。」
階段を上る際に、兄ちゃんが立ち止まった。
「分かってはいたんだ。真っ先に疑われる事実を
捻じ曲げることが出来なかったのが悔しい。」
兄ちゃんの足がまた動き出して、何も喋らない
兄ちゃんを不思議に思いながら着いて行った。
どこに行くんだろうと思いながら兄ちゃんの
後ろを追いかけるとガチャッと扉を開けて1つの部屋に入って
行く兄ちゃんにギョッとしながら続けて中に入った。
電気も付いてない部屋は暖房ももちろん付いてるわけが
なくて、外に居るみたいに寒かった。
例えば、今年兄ちゃんが帰って来るなんて予測がいつ
出来ただろうか?
それだけじゃない、例えば今年あたしは他の人の心配
をする瞬間が来ることを事前に知れただろうか?
「ひーちゃんは過去のことを悔やむ子だったかな?」
真っ暗の部屋に月明かりだけが頼りで兄ちゃんの
居場所を微かに感じ取る。
「俺はね、ひーちゃんが毎日楽しそうに過ごす
姿を見て少し安心してたんだ。」
何で、電気を付けないのだろうかと思うも、
この部屋を何で兄ちゃんは選んで入ったんだろ?
「“アイツ”の居なくなった時、俺正直心配で
日本に帰ってこようか迷った。」
「・・・心配なんてそんな弱い子じゃないよ?」
「だけど、ひーちゃんにとって“アイツ”は
必要な存在だったから、ずっと傍に居てくれる
ものだと疑わず任せっきりにした兄ちゃんも悪いんだ。」
きっと、そんな理由で居なくなったわけじゃない。