「まだ、惚ける気?」

「だから、私は間違っていないと言っているだろう!」


そう言いながら、いつの間にか法廷と傍聴席を区切っている柵を軽々と越えて、被告人の右隣に立っていた。

「この事件の犯人は、あんただけじゃないよね?」

「え……」


思いもよらなぬ言葉を聞いて、私も世多警部もその場にいた全員が固まってしまっていた。


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