幕末桜
何かが倒れたような音だ。

「…?なんだろ、あの音…」

沖田が小さく呟いた。

敵なら気配で分かる。

だけど気配なんて何もしなかった。

玄関に何か置いてあった覚えもない。

沖田、そしてそこにいた幹部全員の胸がドクンと小さな音をたててなった。

まさか…、と。

「…な、なんだ なんだぁ〜?この新撰組屯所に入ろうなんざこの俺が…」

永倉がわざと明るい声をだす。

そして永倉、原田、藤堂が玄関に向かった。

それに続いて沖田、斎藤が玄関へ向かった。

「ったくよぅ、覚悟決めて総司の飯を食おうとしてたの…!!!!」

「「「!!!!!」」」

そこに倒れていたのは血だらけの蝶だった。

「蝶ちゃんっ!!!!!」

「「「「蝶っ!!!!!」」」」

沖田は蝶に駆け寄って抱きかかえた。

「蝶ちゃんっ!?一体何がっ!!?」

「…おぃ、てめぇらうるせぇ…!!!」

「何かあったのか…?……!!!!」

「「蝶(ちゃん)っ!!!!」

玄関がやけに騒がしいと様子を見に来た土方と近藤の目に入ったのは、


沖田に抱きかかえられてる血だらけの蝶の姿だった。

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