運命鑑定
「中村...美紅ちゃんだよね?」
そう言ってくるのは、あたしを抱きしめてきたイケメン。
マンガでしかいないような、二重のぱっちりした目に長いまつ毛。 筋の通った高い鼻。綺麗な白い歯。
そして、女にしては高いあたしよりも頭1つ分は高い身長。
そんなイケメンを前に、普通に「はい」と答えられる人がいるだろうか。
...いや、いるんですよね。 ここに。
そんな感じで答えるとイケメンはハハハと笑い、
「俺のこと知ってる?」
と聞いてきた。
あたしは、屋上にきた本来の目的を忘れていたので誰だかさっぱりだった。
するとそんなあたしを見て、分からないと気付いたのか、イケメンはまた笑いながら言った。
「あれー?愛斗、言ってくれてないの? ま、いーや。俺、前川 彼方(マエカワ カナタ)。よろしくね」