運命鑑定



「中村...美紅ちゃんだよね?」


そう言ってくるのは、あたしを抱きしめてきたイケメン。


マンガでしかいないような、二重のぱっちりした目に長いまつ毛。 筋の通った高い鼻。綺麗な白い歯。

そして、女にしては高いあたしよりも頭1つ分は高い身長。


そんなイケメンを前に、普通に「はい」と答えられる人がいるだろうか。


...いや、いるんですよね。 ここに。



そんな感じで答えるとイケメンはハハハと笑い、


「俺のこと知ってる?」


と聞いてきた。


あたしは、屋上にきた本来の目的を忘れていたので誰だかさっぱりだった。


するとそんなあたしを見て、分からないと気付いたのか、イケメンはまた笑いながら言った。


「あれー?愛斗、言ってくれてないの? ま、いーや。俺、前川 彼方(マエカワ カナタ)。よろしくね」





< 30 / 205 >

この作品をシェア

pagetop