虹色青春物語。
『なのに…未空は、透をフった。…チャンスだって思った…。透もきっといつか未空を諦めて、私を見てくれるかもって、考えた。』
奈保はすでに、泣いていた。
『透に隙があるとしたらここだって思った…未空が側にいない今なら、透の心を引き寄せられるかもしれない。私を見てくれるかもしれないって…だから、2人で会いたかったの…』
「奈保…」
私は何も知らなかった…
いつでも隣にいて、支えてくれていた親友が、こんなにも苦しんでいたなんて。
しかもその苦しみの元凶が私だなんて。私がずっと、苦しめていたんだ…奈保は誰にも相談なんかできず、ずっと耐えていたんだ…
私はそんな思いをさせていたことを謝りたくなった。
「奈保、ごめ」
ん、と言おうとした時、奈保が少し声を荒げて『謝らないでよ…!』と私の言葉を阻止した。
私が何も言えずにいると、今まですすり泣いていた奈保が深呼吸をする所のが電話越しに聞こえてきた。
『未空…』
「うん…」
私は次の言葉を待った。
『透とのこと、曖昧にしないで。』
「!」
奈保の言葉が、胸に刺さった。