《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
「君の話を訊く余裕は俺には無い…何も無いと言うなら二度と…連絡はしないでくれ」


「もう、しません!」


「君…スマホ貸して、社長の情報はすべて消去する」



私はバックの中からスマホを取り出した。

栗原さんは私が渡す前に手を伸ばし、乱暴に奪い去った。
彼は私のスマホを覗き、操作して濱部社長の情報を消去した。


「ほら」
栗原さんは私のスマホを返した。
私は視界を涙で霞ませながら受け取った。


「そんな目で見るなよ。別に怖がらせるつもりはなかったんだ」
栗原さんの抑揚のない声が私の鼓膜に響く。


「ホント、無防備だなっ。危ない女だっ」


「!!?」
栗原さんの右手が私の頬にかかった。


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