背徳性理論
「それじゃあ叶美の、本当の気持ちは」
「え?」
「お前の、本音だよ」
それが聞きたいと、夢人は叶美に問い掛ける。叶美は暫く夢人の胸に頭を預け、そのまま黙っていた。
「ユメ君の、」
「ああ」
「ユメ君の、綾香さんに向けていたあの優しい目……。あの優しい目で、私を見て欲しい」
「……」
「私、私を見て欲しいよ」
嗚咽を漏らしながら、叶美は再び泣いた。
叶美は、グイグイと夢人の胸に顔を押し付けて泣いた。夢人はそんな叶美を抱き締めている。
「綾香に向けていたのが、それが一体どんな目なのか、俺には解らないけど」
「……」
「俺としては多分、叶美をコンビニで初めて見た時からもう既に、叶美が一番だったつもりなんだけど、な」
夢人は困ったように笑った。
叶美は、夢人の指に涙を拭われ、呆然と夢人を見上げていた。