曖昧ショコラ【短】
相変わらず傍若無人な篠原に呆れつつ、キッチンに行く。


そこは微塵切りの途中だった玉ねぎの香りが充満していて、思わず眉を小さく寄せてしまった。


「相変わらず自己中だわ……」


電話中だろうと、微塵切りの途中だろうと、篠原の指示が入ればそれに従う。


どんなに理不尽でも、彼のワガママを聞くのが自分(アタシ)の役目。


さっきは『コーヒーを淹れろ』と言いに来た篠原に頷いて、淹れたばかりのコーヒーを書斎に持って行った所、『ここにいろ』と言われた。


それなのに…


篠原は気が変わったのか、5分もしないうちにあんな事を言い出したのだ。


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