曖昧ショコラ【短】
「……お前しかいねぇだろ」


『いくら何でも鈍過ぎる』とうなだれた篠原は、目を見開いたまま固まるあたしを上から覗き込んだ。


「お前の鈍さとバカさをギネスに申請したら、破れる奴いねぇぞ」


何とも失礼な悪態にも今は構う余裕が無くて、整理出来ない思考をどうにかしようと口を開く。


「こ、恋人は……」


「は?そんなもん、お前と出会った頃からいねぇよ」


「だ、だって、プレゼント……」


「これはお前にやるつもりで買ったんだ。ついでにこっちもな」


さっきとは違う箱のラッピングを乱雑に取った篠原は、蓋を空けて中身をひっくり返した。


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