君が好きとか、ぜったいないからっ!

どきん…


…へぇ。

白糸くんって、そんな人気者だったんだ…。

「碧、本当に知らないの?」

知ってる…。

今朝、初めてあったんだ。

初めて話したの。

白糸くんがどうやって笑うのか、

さしのべてくれた手が、どれほど暖かかったか…

知ってる。

けど…


「知らない。」

サッカーが好きだなんて知らなかった。

頭がいいなんて知らなかった。

学校の人気者だなんて、知らなかった……

全然知らない。なにも知らない。




知りたいなぁ。


なんか、白糸くんのことを考えると心がほかほかする。

なんで?

何でなんだろう?


まぁ、白糸くんがモテるっいうのは納得だよ。

あんなに格好いいんだもん!モテて当然だよね!

なんか、自分のことじゃないのに嬉しいなぁ。

白糸くんが誉められると私が誉められてる気分。


なんか、テンションあがってきた!

体動かしたくなってきたぞ!!!!

よっしゃ。

「…部活行ってくる。」

やっぱ私にはあれしかないよね!

でも、“王子様”の話で盛り上がってる2人は私の声に気がつかなかったっぽい。


「…!!部活いく!!!」

ちょっとちょっと。

親友の私の話無視して王子様の話?

ちょっとだけムキになってさっきより大きな声で言う。

「あれ?今日は部活なくない?」

首を傾げる有里。あー。女の子私でもドキッとしてしまうぐらいかわいい。

いつもは気にならないのに、うらやましいと思ってしまう。

多分…


有里と白糸くんが付き合ったらお似合いなんだろうなぁ。

「うん。でも、練習つきあってくれる人いると思うから。」

「おー。じゃあ、私久しぶりに見学いこっかなー?」

「あー、ずるいぞー有里!あたしもいくー。」

楓は、手を挙げてアピールしている。

「いいよー。」

笑顔で返事する私。





白糸くんのことを考えると、なんか穏やかな気持ちになる。

なんというか、和むっていうか。



なんで?



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