ぬくもりをもう一度
25歳、独身男
あちこちからカタカタと

キーボードの操作音が

聞こえてくる。


皆が無表情に

パソコンに向かうその様は、

ここの一員である

俺から見てもなんとも滑稽だ。


まぁ、そんなこと

言える義理じゃないけれど。


「おい、阿久津(あくつ)。

 これ、ちょっと処理しといてくれ」


そう言って、

歩きがてら上司が

俺に向かって書類の束を渡す。


「はい、分かりました」


上司からそれを受け取りながら、

視線をちらりと向ける。






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