ぬくもりをもう一度
よいしょ、と

起き上がった香澄は

小さく伸びをして

俺へ視線を向けた。


「私、寝ちゃってたんだね」


そう言いながら

ふわりと微笑む香澄に

俺はこくんと頷く。


平静を装っている俺の心臓が、

悲鳴を上げている。


ふと香澄が、

何かを確かめるように唇に触れる。


その仕草に、

俺の心臓が益々激しく鼓動し始めて、

痛い。


「……香澄、どうしたんだ?」


静かに訊く俺の言葉に、

香澄が首を少し傾げながら呟く。





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