ぬくもりをもう一度
好きな女からそんな言葉を聞かされて、

喜ばない男なんていないはずだ。


たとえそれが、

想いの届くことのない相手だとしても。


香澄に見えないからこそ、

俺は顔を緩めて小さく笑った。


「そんなこと言って、

 香澄には守ってくれる人が

 側にいるだろ?」


本当はそんなこと言いたくなど、ない。


けれど、

俺の口から出てくる言葉はどうしても

気持ちとは反対の

ひねくれたものしか流れ出てこない。


そんな俺の言葉に、

電話の向こうが一瞬、

固まったような気がして、

胸の奥がざわつく。





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