ぬくもりをもう一度
「結婚前に、こんなこと言って

 本当にごめん。

 きっと今の俺の言葉は、

 ただの……自己満足だと思うから」


本当は、冗談として

終わらせたくなどない。


けれど、香澄にはこれから

幸せな結婚が控えている。


だからこそ、

俺の想いを香澄の負担に

させてはいけないんだ。


「だからさ

 ……深く気にするなよ、香澄」


ぽつりと呟くと、

フォークとナイフを手に取り

口に運び始める。


ふと香澄に視線を向けると、

透き通っていたはずの瞳が、

ぼんやりとしたものへと

変わっていることに気付く。






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