ぬくもりをもう一度
カタカタとキーボードを打つ音が

鳴り響くこの空間が、

はやり異様に感じて仕方ない。


誰一人として声を出さない仕事場など、

これから先慣れることはないだろう。


そんなことを思いながら、

俺もカタカタと軽快な音を立てる。


パソコン画面を睨みつけながら

黙々と作業していると、

隣からすうっと1枚の

ポストイットが差し出された。


野々原だ。


香澄とのあの一件以来、

一切俺との接触を避けてきていた

野々原に、

俺はすっかり安心しきっていた。


そんな時に差し出されたポストイットに、

俺の心がドクンと嫌な音をたて始める。


……どうか、

厄介なことにはならないでくれ。





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