後悔バス【短編】
『婆ちゃん、何してんの?具合悪いんじゃねぇの?』


『何、言ってんの。お前は昔っからとぼけた事いうねぇ』


婆ちゃんは白い割烹着を来て台所に立っていた


台所のテーブルにならべられた皿には見事に褐色のおかずが並んでいた


『懐かしいな…』


久しぶりに見ると美味そうで、煮豆を一つ口に運んだ


美味い…


あれ?
俺、昔嫌いだったんだよな
こんなおかず…
だから、婆ちゃんが作る弁当いっつも捨ててたんだよ


なのに…
美味くて止まんねーよ


『なんだい、行儀が悪いねぇ』


『ああ…あんまり美味くて…』


『そうかい?お前もやっと分かるようになったんだねぇ。この味が』


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