冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「――ッ」
声にならない詰まるような息づかいが、
喉の奥を、
重く塞いだ。
声が出ない。
声にならない叫びのような息づかいのまま、
その黒いジャケットへと、
走った。
紘夜!
紘夜!
何度も何度も名を呼び、
その黒いジャケットにたどり着くと、
しがみつく様に両手で抱きしめた。
瞬間、
むせ返るような血の匂いと、
冷たい黒い布地だけが私の両手におさまった。