赤い月 肆
「ね、オニがドコから来たか、本当にわからない?」
「わからぬ。
鬼気に気づいた時には背後におった。」
「ドコかに隠れてたとか、侵入できそうな場所とか…」
「隠れていても直ぐにわかる。
そなたもであろう?
開いておったのは、壁の下にある格子の嵌まった小さな窓だけ。
体格的に、あそこからの侵入は不可能じゃ。
…
祥子らの話に、間違いはないぞ?」
うさぎが怪訝そうに首を傾げながら、景時を見上げる。
そうだね。
同じ質問の繰り返しだ。
でも、ここからは違う。
景時は掠れた声を絞り出した。
「体育館の外に、気配はなかった?
…
…
…
ヒトの…」
「どーいうことだ?」
秋時の厳しい声に、景時は少し俯きながら答える。
「見たンだ、俺。
薫も。
鬼気を感じて体育館に向かってる時、ソッチのほうから通用門に逃げてくヒト。
‥‥‥深雪さんだった。」