赤い月 肆

「はぁぁぁぁぁ…」


目の前にドーナツ。
湯気のたつ濃い目のコーヒー。

ファーストフード店のテーブルを囲むのは、気の置けない友人たち。

楽しいはずの放課後なのに、高杉景時(タカスギカゲトキ)の溜め息は止まらない。

いつも甘く微笑んでいるはずの整った顔には生気がなく、赤く染めた長めの猫毛も完全に艶を失っている。

短期間でこの変貌。
浦島太郎デスカ。

原因はわかっている。

うさぎが隣にいないコト。

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