赤い月 肆

「や、蛇は俺が捜して」


「地に…」


「‥‥‥‥‥ハイ。」


薫は渋々うさぎのオーダーに従い、シーツにくるまれた彼女の躰を土の上に横たえた。

さらに顔色が悪くなっているようだ。

限界…なのか?


(こんな状態で…
ナニする気?)


ハラハラしながら薫が見守る中、うさぎが土を指で弾き始めた。

トントン、トト…トン‥‥‥
トトトントン…トントト‥‥‥

気がつくと、他の音が消えている。
周囲の喧騒も、木々の騒めきも。

響くのは、細い指が奏でる大地のメロディーだけ。

始まった…

薫は辺りを見回して、愕然とした。


(こんなにいたンか…)


蛇、蛇、蛇…

一定の距離を保って二人を取り囲む、蛇の群れ。

幼い頃から遊び慣れた境内は、異世界に変わっていた。

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