赤い月 肆

「蒼ちゃんが、姫に会うたて自慢して回っとったから。
アンタは薫か。
そー言や、ハゲやな。」




いやいや、なんとでも言って。
ハゲ… ハゲ… くっ…

そんなコトより‥‥‥


「なぁ、治せん」


「治せんで。
ウチはその道のプロやから。
でも…」


薫の言葉をフジコ(偽)は遮った。

彼女は唇の端を妖艶に吊り上げて笑う。


「代わりに、ナニくれんの?」


(そーきたか…)


薫は険しく眉根を寄せた。


「なんなん? その顔。
世の中ギブアンドテイクやろ?
そら蛇神さんにお願いすんねんから、それ相応のモン貢がななぁ?
例えば‥‥‥命とか?」


女は色っぽく笑う。
楽しげに笑う。

だがその目は青味を増し、冷たく光っていた。

見えないナニカが躰に巻きつき、ジワジワと絞め上げてくる。

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