赤い月 肆
携帯を無造作にポケットに突っ込んで。
勢いよくバイクに跨がって。
メットを手にして夜空を見上げる。
視線の先には、今度こそ本物の月。
同じ月を、うさぎも見ているだろうか。
考えて、考えて、考えすぎて、グシャグシャになって、大切なコトを見失ってた。
うさぎが好き。
うさぎが俺を好きじゃなくても。
うさぎが俺から離れていっても。
うさぎが好き。
もううさぎしか見えない。
そもそも始めから、俺なんかの手に負える人じゃねぇンだよ。
今更、出て行かないようにチマチマ策を講じよーが、駆け引きしよーが、うさぎにゃ通じねぇよ。
形振り構わずブツかろう。
もしまた、そのー…噛んだりしちゃっても、イヤならサクっと殺してくれンだろ。
好きなンだもん。
失いたくねーンだもん。
ヤバい男に惚れられたと思って、諦めてもらおう。