玄太、故郷へ帰る



玄太は嬉しそうに笑って家に入って来るだろう。
弥生ちゃんを連れて、今度はきっと「ただいま」と言って帰って来る。

そんな事は久しぶりだ。


ああ、我が家に弟の玄太が帰って来る。
何だかちょっと、ワクワクしてしまう。


暗がりの中を照らす車のヘッドライトに、雪が光を反射しながらちらついて落ちてきた。

ああ、とうとう降りだした。
こんなに寒いのだから、今日もきっと大降りになるだろう。


冬の好きな玄太。
雪の好きな玄太。

明日の朝、玄太はまたはしゃぐだろう。

「雪、やべえよ」

そう言って嬉しそうに、父の雪かきを手伝うに違いない。


目の前をちらちらと舞う、神秘的な白い雪に、私は密かに祈りなど捧げてみた。

若い二人に感化されて、何だか気分は乙女の様だ。

今日は特別な日なのだから。
たまにはお願い事なんて、似合わない事をしたっていいだろう。

どうせ、誰も見ていないし。



ここを羽ばたいて行った私の漫画に。
ここに戻って来た私の可愛い弟に。

そうして、新しい家族に。



幸があります事を。
神様。








……end





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