君との幸せな心愛
そんなある日、桃のクラスに男子転校生が入ることになった。前の高校で不登校だったらしい。
「はじめまして、担任の赤井です。みんな桃先生と呼びます。よろしくね。」
「伊藤宏樹くんですね。」
その少年は、顔をあげることはなかった。
しかし、なかなかのイケメン。かっこいい。もてるだろうなって桃は思った。

だいたい、人間不信の子供は目を合わせないのだが。これからが桃の腕前の見せ所。

初日から、クラスに入るのは、桃が教頭に反対し、やめることになった。
新しい高校で、心機一転のつもりだろうが、これは実際、難しいのだ。
本人ががんばるつもりでも、それは、親や周囲に気遣っているからだ。

無理はしてはいけない。焦ってもいけない。ゆっくりと。
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