野球嫌いなあたしと、先輩。
皆が帰った頃。

再びグラウンドに、たった一人現れた。


「智……?」


目を見張る皆川誠二郎。


誰より早く帰るアンタは知らなかったんでしょ?

毎日誰より遅くまで残って自主練してる智のこと。


甲子園目指してるのは、アンタ一人じゃないんだよ。

智だって、皆だって、努力してんだよ。


アンタ一人で焦ってどうすんの?


周りが全然見えてないことに気付いたでしょ?


「……あたし、帰るから」
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