野球嫌いなあたしと、先輩。




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「おいっ!小田切!」


その日の放課後の練習が終わってから、あたしは皆川誠二郎の腕を引っ張る。

いつも智を見てる木陰まで。


「てめぇ、いきなりなんだよ!俺はさっさと帰って寝たいんだよっ」


明日も朝練するから?

あれ、まさか毎日してんの?


「黙ってよ。ヒントあげるから」


間違わないで?

一生懸命なアンタを見たからとか、そんな寒い理由じゃないから。


智のため。

これで、智へのいじめがなくなればって思うだけ。


バカで不器用なアンタには、言葉で説明するより、見せた方が早い。
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