野球嫌いなあたしと、先輩。
でもな?と、一拍置いて話を続ける。


「本当は俺には何もない」


あたしを見るその目に色はない。

ただ、ただ、冷たいだけ。


「寄ってくるのは俺のオプションに興味のある奴だけ。実の親にも見放されてるし。もう17年もそうだから、それが当たり前で、悩むことも止めた」


あ……っ、あたしの質問の答え?


“悩みってのは結局、どうにかしたいから悩むんだろ?そういう意味なら確かにない”


言葉の意味が重すぎて、返す言葉がなかった。


ずっとずっと、自意識過剰の俺様だと思ってたけど。

きっと違う。


あたしと同じ……?

強がってるだけ。
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