聖†少女

「…はぁ…」

本日何度目かわからない溜め息を吐き、私は商店街の裏通りを彷徨う。

裏通りには、クリスマスに託つけ悪さをするやつが多いので、浄化する対象は裏通りにいることが多い。

「…頑張らないと…」

深呼吸をし、気合を入れる。

少し歩いて行くと、真昼でも薄暗い場所に辿り着いた。

「此処、だね」

意を決して、一歩踏み出す。

表通りの華やかさとは程遠い静けさに、私は唖然とした。

(静かというか…)

不気味、その単語が頭をよぎる。

「うぅ、早く帰りたい…」

いきなり弱音を言ってしまい、私は再び深呼吸する。

(…大丈夫、私は出来る。出来る子だから。)

ゆっくりと奥へ進み、辺りを見回す。

段々と暗闇に目が慣れ、近くにあるものが見えるようになる。

「…?」

ふと、何か大きな塊が落ちているのに気付き近くに寄ってみる。

(…こ、これ…っ…!?)

もう少しじっくり見ようと、今度はその塊は触れる。

ごつごつした感触が指先に伝わり、背筋が粟立った。


………………
………それは、なんとはなしに触ったそれは、




かつては動いていたのであろう、生気を吸い取られた人間の木乃伊だった。




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