聖†少女
「なっ、どうして…っ!?」
瞬時に辺りを見回し、他にも何体か木乃伊があることに気付く。
(誰がこんな)
神聖なるクリスマスの夜に、これほど沢山の木乃伊が発見されるなど、何者かがクリスマスを冒涜しているからだ。
「誰だ!何処にいる!!」
私は叫ぶと、臨戦態勢に入った。
そのままじりじりと後退し、いつ『敵』が襲ってきても対処出来るようにする。
「…っ!!」
不意に、暗闇の中で影が飛ぶのが見えた。
(そっちか…!!)
足音を立てないように駆け出し、影が飛んだ場所まで移動する。
「…出て来い!お前はもう見つかっているっ!!」
力の限り叫び、最後の勧告をする。
「……。…ふぅ…」
吐息のような溜め息が聞こえるのを、私は聞き逃さなかった。
「出て来い!」
再度叫ぶと、ゆっくりと細身のシルエットが姿を現す。
「そんなに叫ばないでよ」
そんな、鈴の鳴るような声で現れたのは、私とそんなに変わらない。まだ年端も行かない、
少女だった。