親友を好きな彼


「ったく。わざわざ二人の顔写真付きで送ってくる?」

軽くアザになった足の痛みは気にしない振りをして、郵便物を拾い上げる。

もちろん、ハガキも…。

“このテ”の報告には、最後に走り書きで必ず書かれているのだ。

『由依も結婚式に来てくれるでしょ?』

何が来てくれるでしょ?よ。

だいたい“由依”なんて呼ばれるほど、私たち仲良かったっけ?と言いたい。

「これも断ろ」

鍵を開けて入る部屋は、当たり前だけれど真っ暗。

明かりを点けるのと同時に、下駄箱の上にハガキを放り投げると、ため息混じりにソファーに身を投げるのだった。

「虚しい…」

ここ最近、疎遠だった同級生からの“結婚します”報告に、ショックを受けている自分がいる。

二年前に五年間付き合った彼と別れて以来、割り切って仕事に打ち込んできたつもりだったけれど…。

「結婚かぁ…」

好きな人と幸せに暮らす…。

「くらいのイメージしかないや。やっぱ」

くだらない競争なんてやめよう。

“結婚出来る方が幸せ”

私はどこかで、そう思っているんだから。

くだらない考え方は、捨ててしまわなきゃいけない…。


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